ホーム > 専門医がやさしく教えるめまいの治療

専門医がやさしく教えるめまいの治療

専門医がやさしく教えるめまいの治療
著者 松吉 秀武
ジャンル 医学・歯学・薬学
出版年月日 2017/09/25
ISBN 9784774516585
判型・ページ数 4-6・240ページ
定価 1,430円(本体1,300円+税)
在庫 在庫あり

この本に関するお問い合わせはこちら

ネット書店で購入

内容説明

目次

夜中に目覚めたと思ったら、突然激烈なめまいに襲われ、胃の中がからっぽになるまで吐いてしまった。めまいは1分くらいで治まり、ほかに症状もなかったが、横になったら再び視界がぐるぐる回りだし、またトイレに駆け込んだ……。
 これは良性発作性頭位めまい症(BPPV)の典型的な症状です。内耳にある三半規管という部位に耳石が入り込んだために、一時的にひどいめまいが起こったのです。
 良性という名のとおり、放っておいても自然に治る心配のない疾患です。基本的には、薬の服用も必要ありません。脳梗塞や脳腫
瘍のような脳の病気ではなく耳の病気(というよりもちょっとしたアクシデント)ですから、命に関わるようなものではありません。
 ですがたいていの人は驚いて救急車を呼んだりします。では我慢強い人はどこを受診するのでしょうか。耳鼻科?あるいは内科でしょうか?じつは耳鼻咽喉科医の中でも「めまい専門医」でないと正確な診断ができないのです。著者はその専門医として間違っためまい診療を受けている患者さんのために、正確な診断や対処法、危険なめまいの見きわめなど基礎的な話しから専門的な事例までわかりやすく整理して解説しています。長年のめまいに悩まされている方にとって待望の一冊といえるでしょう。



【著者プロフィール】
松橋耳鼻咽喉科・内科クリニック院長・理事長、医学博士。
平成3年、熊本県立熊本高校卒業、平成9年、産業医科大学医学部卒業、平成17年、熊本大学医学部大学院修了(腫瘍免疫について研究)。
平成9年から14年まで産業医科大学病院耳鼻咽喉科にて研修医、専門修練医として勤務。この間、平成10年には産業医科大学病院耳鼻咽喉科より1年間、筑豊労災病院耳鼻咽喉科(医員)へ派遣される。平成14年から20年まで熊本大学病院耳鼻咽喉科に勤務(助手、助教、病棟医長、外来医長)。この間、一貫してめまい外来を担当する。
平成20年に熊本県で松橋耳鼻咽喉科・内科クリニックを開業し院長・理事長に就任、現在に至る。 臨床研究は「めまいの診断と治療」。現在、熊本県で唯一の「日本めまい平衡医学会認定めまい専門会員」でもある。論文多数。
[資格]
医学博士(熊本大学 甲号、博医 1482号)
日本耳鼻咽喉科学会認定専門医(第10319号)
日本耳鼻咽喉科学会認定補聴器相談医(補聴器適合医
師)(第2802号)
日本めまい平衡医学会認定めまい相談医(証明書番号36)
日本めまい平衡医学会認定めまい専門会員(証明書番号237)
はじめに

【第1部 めまいの本質を探る】
【第1章】めまい難民を救え!
間違っためまい診療を受けている患者さんが多すぎる
現状のめまい診療には、とうてい満足できない/急性のめまいで頭部CTを撮っても意味がない/めまいの7割は耳のトラブルによるもの/「めまい」を診

たがる医師は少ない
急なめまいに見舞われたとき、どうする
「とにかく救急車…」の前に/突然のめまいに見舞われたときの自己診断/めまいと吐き気・嘔吐だけの脳梗塞をいかに鑑別するか/どこを受診したらよい

のか/耳鼻咽喉科の「めまい専門医」とは 

【第2章】めまいの正体
なぜ「めまい」が起こるのか?
無意識の平衡バランスがくずれた状態/平衡バランスを維持するための3つの身体機能/めまいの原因は耳、あるいは脳
良性発作性頭位めまい症(BPPV)って何?
耳の中で起こる「あること」/バランスセンサーとしての内耳機能①──回転運動を感知する3本の管、三半規管/バランスセンサーとしての内耳機能②─

─前後左右、上下の動きを感知する「石」/左右の異なる情報による混乱が「めまい」という症状/良性発作性頭位めまい症(BPPV)はなぜ起こる/自

律神経もろとも、耳石の動きにだまされる/耳石が卵形嚢に戻ることで治癒/頭位を変える体操で症状改善/腰痛、高齢、療養中などでめまい体操ができな

いときは/良性発作性頭位めまい症(BPPV)の種類/専門医による治療は?/クプラ結石症には理学療法が効果的
そのほかの耳からくるめまい(末梢性めまい)
メニエール病──名前が知られている割に頻度は少ない/メニエール病は、めまいに難聴が伴うことが多い/前庭神経炎──BPPVと同じような症状だが

、めまいが長期に続くことも/突発性難聴──原因不明だが早期受診・早期治療が重要/心因性めまい──自律神経失調、うつ状態等でめまいが起こること

も 

【第3章】めまい検査の今
めまいの迷路を解明するために
眼振を調べる検査
眼振とは何か/ Ewald-Florens の法則とは/BPPVで多い後半規管に耳石が入った場合/眼振検査は赤外線CCDカメラで/温度刺激検査(カロリックテ

スト)とは
その他のめまいの検査 
前庭誘発筋電位(cVEMP)検査──聴神経腫瘍の鑑別のために/静的体平衡検査(重心動揺検査)──中枢性・末梢性の鑑別のために/純音聴力検査─

─難聴があるかどうかも重要/一般脳神経検査──脳神経が正常に働いているか/小脳機能検査──小脳の働きに異変はないか/シェロングテスト──起立

時の血圧の差を測定/心理検査──見えない原因を探すことも必要 

【第4章】めまいは自分でコントロールできる
めまいを起こさない賢い生活の秘訣
めまいなんか怖くない/セルフコントロールできるめまい、できないめまい/生活習慣の悪循環を断ち切ろう/生活習慣を改善するヒント
子どもの乗り物酔い、成人までに治しておきたい 
小学校の統廃合で乗り物酔いが増える?/乗り物酔いは、なぜ起こるのか/引き金となる緊張や不安を抑える/乗り物酔いは、成人前に治しておきたい 

【第2部 めまい治療の専門医を目指して】
私はこうしてめまいの専門医になった―めまい診療、臨床検討、研究報告―
めまい診療へのきっかけとなった大学院進学/大学病院の臨床医師として/開業後も大学病院と同レベルの検査を/不充分なめまい診療が多いことに気づい

て/クリニックの臨床統計から治療方法を評価/どうにか専門会員になれた!/臨床医の仕事を形として残す
●Chapter 1 めまい統計
 1めまいは症状・程度・原因・経過など多岐にわたる疾患
●Chapter 2 耳が原因のめまい
 2めまいは50~60代女性に多く、8割は水平(外側)半規管型
 3増加傾向にある良性発作性頭位めまいとその治療法
 4頭部刺激する新しい治療法に良好な効果
 5温度刺激検査により早期診断・早期治療が可能になる
 6両側の半規管に異常があっても早期治療・リハビリは有効
●Chapter 3 心のバランスがくずれて起こるめまい
 7精神疾患によるめまいは薬に頼らず精神科医に
●Chapter 4 自律神経系とめまい
 8めまい経験がない人にめまいを誘発してわかったこと
 9通常のめまい治療で効果が得られないケース
●Chapter 5 所見に乏しいめまいに対する対応
 10原因不明のめまいと睡眠障害の関わり
●Chapter 6 危険なめまい
 11耳鳴とふらつきの原因が肺ガンだったケース
 12めまいの発症要因はここまで多様化している
 13神経疾患が関与している場合のめまい診療
 14耳鼻咽喉科でもどうしたら腫瘍を見落とさないか
 15めまいが改善しない場合に腫瘍を念頭に置く
 16めまいに隠れていた中枢神経障害を伴う腫瘍
●Chapter 7 トピックス
 17214症例を対象とした「地震後めまい症候群」

おわりに

〈 PAGE TOP